わたさんの自作讃美歌作品集


ふるさと (made in 1980)

ひとりひとりは いつもさびしい
君はそうつぶやきながら
僕の胸に頬を寄せて
声も出せずに涙する

 人は一人では生きてゆけないことに
 気がついていても
 本当の心のふるさと
 見つけられずに生きている

その寂しさを忘れようと
君はぼくに踊ろうと言った
踊ってもいい
踊った後のむなしさに耐えられるのなら
 耐えきれない寂しさやむなしさ
 いつでもついてまわる
 そんなとき帰りたい
 ふるさとがあればいいのに

だから涙を拭いてこのぼくと
ふるさとへ帰ろう
なにもかも捨てて行ける
本当の心のふるさと


クリスマスの贈り物 (made in 1979)

蝋燭だけの部屋 闇の中に目を落とし
裂かれた夢を見つめては 過去を振り返る

思えばあの時に もう少し強ければ
そんな思いは繰り返し 寄せて打ち返す

 遠い遠い空の彼方から 届いた贈り物
 夢と希望と愛の歌 新しいおとずれ

クリスマスツリーは 星のようにまたたいて
傷つく心なぐさめ 何かに目覚める

人のしあわせを なくした気がしたけど
この贈り物で すべては生まれ変わる

 遠い遠い空の彼方から 届いた贈り物
 夢と希望と愛の歌 新しいおとずれ


最後の言葉 "May Father forgive them" (made in 1979)

小さな窓から 夕日があなたの頬を照らす
窓の外を見つめるあなたの目には
一粒、涙が光っていた

丸いテーブル、食べかけの堅焼きパン
蝋燭をともせば あなたの思い出
心の中をよぎる

 ああ、どうしてぼくは今まで
 あなたの 気持ちがわからなかったんだろう
 だのに あなたは 私を 責めることもしなかった

湖に映る あなたの優しい微笑み
わずかの月明かりに光る瞳は
何か深く沈んでいた

岸に揚げてある 古びた一漕の小舟
もたれて空を見れば なつかしい日々が
思い出されて来ます

 ああ、どうしてぼくは今まで
 あなたを捨て去って逃げて来たんだろう
 だのに あなたは 私を 赦してくれると言うのですね

死刑台の上、涙と血にまみれつぶやいた
最後の言葉が昔のあなたを 解いているように


あこがれのイエスとともに (Dec. 1978)

その街角で あの街角で
あの人はいつものように やさしく
悩み悲しみに 苦しむ人たちに
あの人は いつも話しかける

「どうしたの 君の悩み、ぼくに話してごらん
 心配しないで 君の人生 ぼくも歩いてあげる」

 だから、ぼくはあの人と一緒に 歩いてゆくんだよ
 イエスは あこがれの君 いつも
 ぼくのそばにいてください

ある日 誰かが壁を見つめて
心の傷跡に涙ながしても
その傷跡をやさしくいたわり
あの人は いつもささやきかける

「だめだよ、くよくよしてちゃ、ほら、ぼくがいるじゃない
 心配しないで、元気だしなよ、前向いて歩こうよ」

 こんなぼくでもイエスは ともに行こうと声かけてくれる
 だから、行くどこまでもともに
 あこがれのイエス君とともに