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共通語のアクセント体系


大阪弁のアクセントを論じる前に、まず、共通語のアクセントについて、まとめておきます。
共通語のアクセントには、大まかに3つの型があります。「頭高」アクセント、「中高」アクセント、「平板」アクセントの3つです。

(1)頭高アクセント

 共通語の頭高アクセントは、最初の音が高く、2番目の音から低くなるアクセントです。共通語のアクセントで、最初の音が高くなるのは、このアクセントの型のみです。

例)
目:め[●]、歯:は[●]、地:ち[●]
朝:あさ[●○]、傘:かさ[●○]、松:まつ[●○]、愛:あい[●○]
蛍:ほたる[●○○]、からす[●○○]
頭高アクセントは、1音節目の次に「下がり目」が来るアクセントであり、1音節語についても、助詞をつけた場合に明確になります。

例えば、目・が[●・○]、歯・を[●・○]、地・に[●・○]
となり、必ず、2音節目が下がります。


頭高アクセントが複合語を作る場合には、アクセントが変わる場合があり、次のように発音されます。

目・ぐすり[○・●○○]、歯・ならび[○・●○○]
朝・寝坊[○●・●○○]、松林[○●・●○○]
蛍・イカ[○●●・○○]、カラス天狗[○●●・●○○]
このように、2音節以上の語では、アクセントの位置が移動し、後の語の部分にアクセントが移ります。
しかし、次のように頭高アクセントが保たれる場合もあります。これらは、複合語が既に1語として認識されているためではないかと思われます。
目じり[●○○]、歯医者[●○○]、朝日[●○○]

(2)中高アクセント

このアクセントは、最初の音節を低く、2音節目からある音節までを高く発音し、その後、最後まで低く発音するものです。この「ある音節」にアクセントの位置があると言い、その音の後に「下がり目」があるということもできます。

例えば、2番目にアクセントのある語は、
足:あし[○●]、池:いけ[○●]、山:やま[○●]、玉子:たまご[○●○]、
雪国:ゆきぐに[○●○○]、おむすび[○●○○]
3番目にアクセントのある語は、
ランドセル[○●●○○]、立ち話:たちばなし[○●●○○]
4番目にアクセントのある語は、
国語辞典:こくごじてん[○●●●○○]
などです。

2音節語では、中高アクセントであることを明確にするためには、助詞をつけると分かりやすくなります。例えば、
 足を:あし・を[○●・○]、池に:いけ・に[○●・○]
のように、2音節目の次に「下がり目」が来ることになり、3音節目を低く発音します。

中高アクセントが先頭に来て複合語を作る場合においても、アクセントの移動が生じます。例えば、
 玉子焼き:たまご・やき[○●●・●●]などです。

(3)平板アクセント

平板アクセントは、最初の音節を低く、2番目の音節から最後まで高く発音するものです。例えば、
胃:い[○]、蚊:か[○]、
顔:かお[○●]、
香り:かおり[○●●]、時計:とけい[○●●]
などです。

1音節の語、2音節の語では、助詞をつけると明確になります。
胃が:い・が[○・●]、顔に:かお・に[○●・●]
平板アクセントの語が先頭に来て複合語を作る時には、アクセントの移動は生じないことがほとんどです。
胃・かいよう[○・●○○○]、時計まわり[○●●・●○○]

(4)箸、橋、端?

よく話題になるこの3つの「はし」、全て違う型のアクセントです。
箸:はし[●○]→はし・が[●○・○]・・・頭高アクセント
橋:はし[○●]→はし・が[○●・○]・・・中高アクセント
端:はし[○●]→はし・が[○●・●]・・・平板アクセント