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丁寧の助動詞:名詞につくもの(です、だす、だ、やおまへん)


「です」「だす」は、名詞について、話し手の言葉を丁寧にする助動詞です。
大阪弁では元来は「だす」でした。しかし共通語に押されて、「です」が主流になりました。

「だす」の終止形が転訛した「だ」と言い方があります。
「だっ」と言う風に発音します。
これは、共通語の断定の助動詞「だ」とは異なります。
わては、やおやだ[●●●・●]・・・わたしは、八百屋です。
わては、やおやだ[●●●・○]・・・わたしは、八百屋だ。

しかし、お年寄りや、大阪弁にこだわりを持っている人以外、もう、ほとんど使わないようですが、
だっせ
だんがな
という形で辛うじて残っています。

名詞について、話し言葉を丁寧にするものに、「でおます」という言い方があります。
そして、この否定形は、「やおまへん」です。

(1)「です」「だす」の活用形

未然
連用
終止
連体
仮定
命令
接続
でしょ・う
でひょ・う
でし・た です です・とき ですれ・ば   体言、準体助詞に接続
(だしょ・う)
(だひょ・う)
だし・た だす
だす・とき (だすれ・ば)   体言、準体助詞に接続

終止形、連体形に「の」「のん」「ねん」「がな」がつくと、撥音便「ん」します。
でんのん
だんねん
でんがな

終止形が促音便する場合もあります。
でっさ←「です・わ」の転訛
だっせ←「だす・え」の転訛
でっしゃろ←「です・やろ」の転訛




(2)「です」「だす」「だ」のアクセント

平板型名詞
頭高型名詞
尻上がり型名詞
中高型名詞
中下がり型名詞
時計です[●●●・●●]
時計だす[●●●・●●]
時計だ[●●●・●]
世界です[●○○・○○]
世界だす[●○○・○○]
世界だ[●○○・○]
からすです[○○○・○●]
からすだす[○○○・○●]
からすだ[○○○・●]
トマトです[○●○・○○]
トマトだす[○●○・○○]
トマトだ[○●○・○]
花見です[●●○・○○]
花見だす[●●○・○○]
花見だ[●●○・○]



(3)「でおます」「やおまへん」のアクセント

平板型名詞
頭高型名詞
尻上がり型名詞
中高型名詞
中下がり型名詞
時計でおます
[●●●・●●●]
世界でおます
[●○○・○●●●]
からすでおます
[○○○・○●●●]
トマトでおます
[○●○・○●●●]
花見でおます
[●●○・○●●●]
時計やおまへん
[●●●・○●●●●]
世界やおまへん
[●○○・○●●●●]
からすやおまへん
[○○●・○●●●●]
トマトやおまへん
[○●○・○●●●●]
花見やおまへん
[●●○・○●●●●]