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強めの終助詞(な、や)


「な」は、どのような文節にもついて、間を持たせる役割をします。

また、「な」「や」は、動詞の命令形について、強めの働きをします。
この時の「や」は、助動詞ではなく、助詞と考えた方が良いでしょう。

1.文節の終わりについて、間を持たせる用法

文節の最後につくので、どのような品詞にでも接続します。

わしがな[○○・○・●]、言うとったやろ[●●・●●・○・○●]

それをな[●●・●・●]、食べたときな[○●○・○○・●]、めっちゃうまかったんや[○○○・●●○○・●○・○]

子供の会話などでは、「な」を多用します。

あんな[○○・●]、えっとな[○○○・●]、うちな[○○・●]、
きのうな[●○○・●]、遊園地にな[●●●○・○・●]、行ってん。[●●・○○]
ほいでな[●●●・●]、ジェットコースターとな[○○○・●○○○○・○・●]、
かんらんしゃにな[●●●○○・○・●]、乗ってん[●●・○○]。
内緒話でも多用します。

あんな[○○・●]、あんな[○○・●]、これ[○○]ないしょやねんけどな[●●●・○・○○・○○・●]、
だれにも[○○●○]言うたら[●○○○]あかんでえ[●●●○●]・・・・


2.動詞の命令形について強めを表す用法

「な」は、連用形の命令表現について、勧めを表します。
「や」も、同様ですが、やや強い勧めになります。

はよ[○○]、言いな[●●・●]
はよ[○○]、言いや[●●・●]

はよ[○●]、食べな[○○・●]
はよ[○●]、食べや[○○・●]

はよ[○○]、来(き)いな[●●・●]
はよ[○○]、来(き)いや[●●・●]

そこに[○○○]、居りな[●●・●]
そこに[○○○]、居りや[●●・●]

「な」「や」の音を下げると、「どうしてそうしないのか、するのが当然ではないか」というようなニュアンスになり、かなり強い勧めの表現になります。
この時、動詞の語尾は伸ばします。
はよ[○○]、言いいな[●●○・○]
はよ[○○]、言いいや[●●○・○]

はよ[○●]、食べえな[○●○・○]
はよ[○●]、食べえや[○●○・○]

はよ[○○]、来(き)いな[●○・○]
はよ[○○]、来(き)いや[●○・○]

そこに[○○○]、居りいな[●●○・○]
そこに[○○○]、居りいや[●●○・○]

「や」を命令形につけると、かなり強い命令口調になります。

はよ[○○]、言えや[●○・○]

はよ[○●]、食べろや[○●○・○]

はよ[○○]、来(こ)いや[●○・○]

そこに[○●○]、居れや[●○・○]

連用形+「て」の命令表現に「な」をつけると、お願いを表します。
連用形+「て」の命令表現に「や」をつけると、かなり命令的な依頼を表します。

はよ[○○]、言うてな[●●●・●]
はよ[○○]、言うてや[●●●・●]

はよ[○●]、食べてな[○○○・●]
はよ[○●]、食べてや[○○○・●]

はよ[○○]、来(き)てな[●●・●]
はよ[○○]、来(き)てや[●●・●]

そこに[○○○]、居ってな[●●●・●]
そこに[○○○]、居ってや[●●●・●]

「な」を低く発音し、「て」を伸ばすと、強いお願いになります。
「や」を低く発音し、「て」を伸ばすと、「どうしてそうしないのか、するのが当然ではないか」というようなニュアンスになり、かなり強い勧めの表現になります。

はよ[○○]、言うてえな[●●●○・○]
はよ[○○]、言うてえや[●●●○・○]

はよ[○●]、食べてえな[○○●○・○]
はよ[○●]、食べてえや[○○●○・○]

はよ[○○]、来(き)てえな[●●○・○]
はよ[○○]、来(き)てえや[●●○・○]

そこに[○○○]、居ってえな[●●●○・○]
そこに[○○○]、居ってえや[●●●○・○]



3.動詞の否定命令形について強めを表す用法

「な」は、連用形の否定命令表現について、否定依頼を表します。
「や」も、同様ですが、やや強い否定依頼になります。

もう[●●]、言いなな[●●・○・●]
もう[●●]、言いなや[●●・○・●]

もう[●●]、食べなな[○○・○・●]
もう[●●]、食べなや[○○・○・●]

もう[●●]、来(き)なな[●●・○・●]
もう[●●]、来(き)なや[●●・○・●]

そこに[○●○]、居りなな[●●・○・●]
そこに[○●○]、居りなや[●●・○・●]

「な」「や」の音を下げると、「どうしてそうするのか、しないのが当然ではないか」というようなニュアンスになり、かなり強い禁止の表現になります。但し、「な」は「いな」に変化します。
もう[●●]、言いないな[●●・○・○○]
もう[●●]、言いなや[●●・○・○]

もう[●●]、食べないな[○●・○・○○]
もう[●●]、食べなや[○●・○・○]

もう[●●]、来(き)ないな[●・○・○○]
もう[●●]、来(き)なや[●・○・○]

そこに[○○○]、居りないな[●●・○・○○]
そこに[○○○]、居りなや[●●・○・○]

「や」を否定命令形につけると、かなり強い命令口調になります。

もう[●●]、言うなや[●●・○・○]

もう[●●]、食べるなや(食べんなや)[○●○・○・○]

もう[●●]、来(く)るなや(来(く)んなや)[○●・○・○]

そこに[○○○]、居るなや(居んなや)[●○・○・○]

「んといて」の命令表現に「な」をつけると、お願いを表します。
「んといて」の命令表現に「や」をつけると、やや強い依頼を表します。

もう[●●]、言わんといてな[●●・●●●●・●]
もう[●●]、言わんといてや[●●・●●●●・●]

もう[●●]、食べんといてな[○○・○○○○・●]
もう[●●]、食べんといてや[○○・○○○○・●]

もう[●●]、来(こ)んといてな[○・○○○○・●]
もう[●●]、来(こ)んといてや[○・○○○○・●]

そこに[○○○]、居らんといてな[●●・●●●●・●]
そこに[○○○]、居らんといてや[●●・●●●●・●]

「な」「や」を低く発音し、「て」を伸ばすと、強いお願いになります。

もう[●●]、言わんといてえな[●●・●●●●○・○]
もう[●●]、言わんといてえや[●●・●●●●○・○]

もう[●●]、食べんといてえな[○○・○○○●○・○]
もう[●●]、食べんといてえや[○○・○○○●○・○]

もう[●●]、来(こ)んといてえな[○・○○○●○・○]
もう[●●]、来(こ)んといてえや[○・○○○●○・○]

そこに[○○○]、居らんといてえな[●●・●●●●○・○]
そこに[○○○]、居らんといてえや[●●・●●●●○・○]