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主張の終助詞(ねん、てん)



1.「ねん」

「ねん」は、「〜のだ」を表す「〜のや」が「ねや」となり、「ねん」となったと言われます。

「のや」は、用言について、体言にはつきません。なぜなら、「の」は準体助詞で用言を体言化する助詞だからです。
また、「のや」は、形容動詞にはつきません。これらにつくときは、「なんや」となります。
食べるのや[○○●・○○]・・・動詞
大きいのや[●○○○・○○]・・・形容詞
あほなんや[○●・○○○]・・・形容動詞
これなんや[●●・○○○]・・・代名詞(体言)


ところが、「ねん」は、断定の助動詞「や」を伴って、体言や形容動詞につくことができます。

用言への接続は、「の」と同様、連体形につきます。

食べるねん[○○●・○○]・・・動詞
大きいねん[●○○○・○○]・・・形容詞
あほやねん[○●・○・○○]・・・形容動詞
これやねん[●●・○・○○]・・・代名詞(体言)

「ねん」の用法は様々で、次のような用法があります。(尾上圭介氏:大阪ことば学による)

うち[○●]、知ってんねん[○○○●・○○]・・・告白
今日は[○●○]、寝とうないねん[●●○○●・○○]・・・訴え
うち[○○]、戦争[●●●●]、いややねん[●●○・○○]・・・告白、訴え
あの子[●●●]、結構[○○●○]、ええとこあるねん[○○●○・○●・○○]・・・教え
今日は[○●○]、あの子と[●●●●]遊ぶねん[○○●・○○]・・・意志
そやねん[●○・○○]・・・発見
やったら[●●○○]なんでも[○○●○]やれるねん[●●●・○○]・・・再認識
いずれにせよ、垣根をはずして相手にうちあけてものを言うときに使います。

「ねん」のアクセントは、上からも分かるように、全て低く発音します。



2.「てん」

「のだ」「のや」は、過去のことを表す時には「〜たのだ」「〜たのや」と言いますが、
「〜たねん」とは言いません。この場合、「てん」を使います。

用言への接続は、「た」「て」と同様、連用形につきます。

また、「ナ行」「マ行」の5段活用動詞に接続する時は、「でん」となります。

食べてん[○●・○○]・・・動詞
大きかってん[●●●○○・○○]・・・形容詞
あほやってん[○●・○○・○○]・・・形容動詞
これやってん[●●・○○・○○]・・・代名詞(体言)

「てん」の用法は「ねん」とほぼ同様です。

うち[○●]、知っててん[○○●・○○]・・・告白
昨日は[●○○○]、寝とうなかってん[●●○●○○・○○]・・・訴え
うち[○○]、戦争[●●●●]、いややってん[●●○○・○○]・・・告白、訴え
あの子[●●●]、結構[○○●○]、ええとこあってん[○○●○・○○・●○]・・・教え
昨日は[●○○○]、あの子と[●●●●]遊んでん[○●○・○○]・・・報告
そやってん[●○○・○○]・・・発見
やったら[●●○○]なんでも[○○●○]やれてん[●○・○○]・・・再認識

「てん」のアクセントは、「て」の部分は完了の助詞「た」と同じで、「ん」の部分は低く発音します。