(1)平板アクセント 共通語のアクセントと最も類似語の多いのが、平板アクセントであると思います。 ただし、大阪弁の平板アクセントは、最初から最後まで高く発音されることが特徴です。例えば、 蚊:か[●]、血:ち[●]、 顔:かお[●●]、袖:そで[●●] 香り:かおり[●●●]、時計:とけい[●●●]、 洋服:ようふく[●●●●] 散髪屋:さんぱつや[●●●●●] これらは、共通語でも平板アクセントで発音される語です。 しかし、最初から高い音で発音されるので、かなり特徴的な発音として捉えられると思います。 また、この型のアクセントに限らず、1音節の語は、単独で用いられる時には、2音節のように長音化して発音するのが普通であり、 平板アクセントの場合には、 蚊:かぁ[●●] のように発音されます。 このアクセントを持つ語に助詞をつけた場合、助詞のアクセントの型にかわわらず、これらの語のアクセントも、助詞のアクセントも変わりません。 蚊が:かぁ・が[●●・●] 死へ:しぃ・へ[●●・○] 顔から:かお・から[●●・●○] 顔より:かお・より[●●・○○] のようになります。 |
(2)頭高アクセント 頭高アクセントは、1音節目の後に下がり目があるアクセントです。 但し、1音節語の場合には、音節の途中に下がり目が来ます。 歯:は[▼]/はぁ[●○]、毛:け[▼]/けぇ[●○]、胃:い[▼]/いぃ[●○] 足:あし[●○]、池:いけ[●○]、山:やま[●○] 蛍:ほたる[●○○] 1音節語の場合には、共通語の語彙と一致するものが多く、 2音節語の場合には、共通語では2音節目にアクセントが来る語彙が多いようです。 これらに助詞をつけてもアクセントは変わらず、助詞は全て低く発音されます。 歯が:は・が[●・○][▼・○] 胃へ:い・へ[●・○][▼・○] 蛍から:ほたる:から[●○○・○○] 池より:いけ:より[●○・○○] |
(3)尻上がりアクセント これは、共通語のアクセントにないもので、大阪弁にかなり特徴的なアクセントです。 例えば、 目:め[▲]/めぇ[○●]、地:ち[▲]/ちぃ[○●]、箸:はし[○●]、電車:でんしゃ[○○●] などです。 これらに、高いアクセント(平板、頭高など)の助詞をつけると、アクセントの位置が次の音節に移動(上がり目の待機)します。 目が:め・が[○・●]/めぇ・が[○○・●] 箸を:はし・を[○○・●] 電車から:でんしゃ:から[○○○:●○] 但し、低いアクセント(尻上がりなど)の助詞をつけると、アクセントの位置は変わりません。 電車へ:でんしゃ・[○○●・○] 電車より:でんしゃ・より[○○●・○○] |
(4)中高アクセント これは、最初低く、途中で1音節のみ上がり、再び低く発音するアクセントです。 大阪弁に特徴的なアクセントです。 2音節語の場合には、2音節目の途中に下がり目があります。 顎:あご[○▼]/あごぉ[○●○]、雨:あめ[○▼]/あめぇ[○●○]、あほ[○▼]/あほぅ[○●○] トマト[○●○]、梯子:はしご[○●○]、お茶碗:おちゃわん[○●○○] 目ぐすり:めぐすり[○○●○]、かまきり[○○●○]、カブト虫:かぶとむし[○○●○○] 御味噌汁:おみそしる[○○○●○]、国語辞典:こくごじてん[○○○●○○] これらに助詞をつけてもアクセントは変わらず、助詞は全て低く発音されます。 但し、2音節語の場合には2音節目の途中の下がり目は次の音節に移動(下がり目の待機)します。 一般に2音節語に助詞がつく場合、2音節目を長く伸ばして発音することはありません。 顎が:あご・が[○●・○] はしごへ:はしご・へ[○●○・○] 顎から:あご・から[○●・○○] はしごより:はしご・より[○●○・○○] |
(5)中下がりアクセント これは、最初、平板アクセントのように高く、途中で下がり、最後まで低く発音するアクセントです。 共通語の中高アクセントと類似点が大きいアクセントです。 例えば、 ランドセル[●●●●○]、観覧車:かんらんしゃ[●●●○○] などです。 これらに助詞をつけてもアクセントは変わらず、助詞は全て低く発音されます。 ランドセルが:らんどせる・が[●●●●○・○] 観覧車へ:かんらんしゃ・へ[●●●○○・○] ランドセルから:らんどせる・から[●●●●○・○○] 観覧車より:かんらんしゃ・より[●●●○○・○○] |
(4)箸、橋、端? よく話題になるこの3つの「はし」、大阪弁では?
|