(1)「ない」「ん」「へん」の活用形
なお、仮定表現としては、通常、「なかったら」「なん・だら」「んかっ・たら」「へんなん・だら」「へんかっ・たら」を使います。 また、命令表現としては、保留の助動詞「とく」を伴って、「んとき」「んとけ」を用います。 |
(2)「ない」がつく場合・・・動詞は未然形となります。(共通語に同じ) 平板型アクセントの動詞・・・アクセントは変わりません。
尻上がり型アクセントの動詞・・・アクセントは変わりません。
例外:頭高型アクセントの動詞・・・平板アクセントに変化します。
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(3)「ん」がつく場合・・・動詞は未然形となります。 平板型アクセントの動詞・・・動詞のアクセントの位置は変わりません。
尻上がり型アクセントの動詞・・・アクセントの待機が生じます。
例外:頭高型アクセントの動詞・・・平板アクセントに変化します。
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(4)「へん」がつく場合 「へん」がつく場合には、「ない」とはかなり異なる変化をし、アクセントも異なります。 基本的に、「へん」の前は、「エ」行の音に変化する傾向にあります。五段活用語であれば「命令形」に、下一段活用語は「未然形」になります。しかし、上一段語は元来、「エ」行の活用がありません。「イ」の音に「へん」を付けるとかなり落ち着かない感じがするため、大阪弁では「イ」の音を「エ」に置き換えることが行われます。 ちなみに、京都弁では、全て未然形に変化し、イ行の音には、「ひん」を使います。この京都弁的な活用法は、大阪でも用いられることがあります。 ここでは、大阪弁的活用形を上段に、京都弁的活用形を下段に示すことにします。 それから、上一、下一段の2音節語では、「へん」の前が1音では落ち着かず、伸ばして発音します。1音で発音することはありません。 平板型アクセントの動詞・・・「へん」の前の音を下げます。
尻上がり型アクセントの動詞・・・アクセントは変わり、「へん」の前が1音節の語は、頭高となり伸ばして2音節のように発音、「へん」の前が2音節の語は、「へん」の前の音を高く発音、「へん」の前が2音節の語は、「へん」の2つ前の音を高く発音。
例外:頭高型アクセントの動詞・・・アクセント変化は生じません。
下一段活用の可能動詞(言える、行ける、押せる、呼べる、死ねる、売れる、思える、動ける、歩める、帰れる、行える、近づける、潤せる、喜べる、悲しめる・・・会える、出せる、住める、折れる、歩ける、遊べる、作れる・・・)には、「へん」をつけると、五段活用語(言う、行く・・・会う、出す・・・)に「へん」をつけるのと同じ形になってしまうので、大阪弁では下一段活用の可能動詞に「へん」をつけることはできません。(京都弁は可能です。)(また、「見える」だけは、「見えへん」が可能で、「見る」に「へん」がついたものとは、アクセントで区別します。) この場合には、五段活用語に可能を表す係り副詞(よう[●●])+未然形+「ん」で表し、(よう言わん[●●・●●・●]、よう行かん、よう押さん、よう呼ばん・・・よう会わん[●●・○○・●]、よう出さん)などのように言うか、又は、可能の助動詞「れる」を用いて、(言われへん[●●・○・○○]、行かれへん、押されへん、呼ばれへん・・・会われへん[○●・○・○○]、出されへん・・・)などのように言います。 なお、京都弁の場合には、この点が異なります。五段活用動詞「言わない(言わへん)」、下一段活用可能動詞「言えない(言えへん)」となり、大阪弁とは異なる活用をしますので、可能動詞に「へん」をつけることが可能になるわけです。関西人が「言えへん」と言った場合、「言えない」のか「言わない」のか、その人が京都人か大阪人かによって意味が違うのでご注意を。 |