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他人のためにすることを表す助動詞(たる、たげる、たれへん、たげへん)


「たる」「たげる」は、「て・やる」「て・あげる」の転訛したもので、その動作を他人のためにすることを表します。

「たる」はややぞんざいな言い方、「たげる」は丁寧な言い方になります。

「たれへん」は、「たる」の否定。
「たげへん」は、「たげる」の否定。

例文:
おまえのために、やったってんねんで
あんた、その魚、食べへんねんやったら、食べたるでぇ。
そんな意地悪、したったらあかん。
そんな悪口いうねんやったら、もう、言うこと聞いたれへん。。
お菓子もう一個、おまけしたげますわな。

「てやる」は、前項の第3者の動作を表す場合もありますが、ここでの「てやる」とはアクセントが違います。

買う・て・やる[●●●●●]=買うたる[●●●●]:(私が誰かのために)買ってやる:他人のための動作
買うて・やる [●●●○○]          :(あの人が)買っている    :第3者の動作

食べ・て・やる[○○○●●]=食べたる[○○○●]:(私が誰かのために)食べてやる:他人のための動作
食べ・てやる [○○●○○]          :(あの人が)食べている    :第3者の動作


マ行、ナ行で活用する動詞につく場合には、「だる」「だげる」となります。

(1)「たる」、「たげる」、の活用形

未然
連用
終止
連体
仮定
命令(「へん」に接続)
接続
たら・ん
たろ・う
たっ・た
たり・ます
たっ・て
たる たる・とき たれ・ば たれ 動詞の連用形につく
たげ・ん
たげ・よう
たげ・た
たげ・ます
たげ・て
たげる たげる・とき たげれ・ば たげ 動詞の連用形につく

「の」「のん」「ねん」「で」などが後につくときには、「たん・ねん」「たげん・で」のように、撥音便します。

仮定形にはむしろ、「たったら」「たげたら」が使われます。


(2)「たる」「てやる」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・●●]言う・たる
[●●・●●●]言う・てやる
[●●●・●●]祈っ・たる
[●●●・●●●]祈っ・てやる
[●●●●・●●]輝い・たる
[●●●●・●●●]輝い・てやる
上一段活用語 [●・●●]居(い)・たる
[●・●●●]居(い)・てやる
[●●・●●]出来・たる
[●●・●●●]出来・てやる
[●●●・●●]滅び・たる
[●●●・●●●]滅び・てやる
下一段活用語 [●・●●]得・たる
[●・●●●]得・てやる
[●●・●●]越え・たる
[●●・●●●]越え・てやる
[●●●・●●]与え・たる
[●●●・●●●]与え・てやる
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●●]し・たる
[●・●●●]し・てやる

「やる」→「やったる」という表現も可能です。

尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○○・○●]読ん・だる
[○○・○●●]読ん・でやる
[○○○・○●]歩い・たる
[○○○・○●●]歩い・てやる
[○○○○・○●]もたらし・たる
[○○○○・○●●]もたらし・てやる
上一段活用語 [●・●●]見・たる
[●・●●●]見・てやる
[○○・○●]悔い・たる
[○○・○●●]悔い・てやる
[○○○・○●]用い・たる
[○○○・○●●]用い・てやる
下一段活用語 [●・●●]出・たる
[●・●●●]出・てやる
[○○・○●]見え・たる
[○○・○●●]見え・てやる
[○○○・○●]答え・たる
[○○○・○●●]答え・てやる
カ行変格活用語 [●・●●]来(き)・たる
[●・●●●]来(き)・てやる
サ行変格活用語 [○○○・○●]命じ・たる
[○○○・○●●]命じ・てやる



例外:頭高型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・●●]居(お)っ・たる
[●●・●●●]おっ・てやる



(3)「たげる」「てあげる」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・●●●]言う・たげる
[●●・●●●●]言う・てあげる
[●●●・●●●]祈っ・たげる
[●●●・●●●●]祈っ・てあげる
[●●●●・●●●]輝い・たげる
[●●●●・●●●●]輝い・てあげる
上一段活用語 [●・●●●]居(い)・たげる
[●・●●●●]居(い)・てあげる
[●●・●●●]出来・たげる
[●●・●●●●]出来・てあげる
[●●●・●●●]滅び・たげる
[●●●・●●●●]滅び・てあげる
下一段活用語 [●・●●●]得・たげる
[●・●●●●]得・てあげる
[●●・●●●]越え・たげる
[●●・●●●●]越え・てあげる
[●●●・●●●]与え・たげる
[●●●・●●●●]与え・てあげる
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●●●]し・たげる
[●・●●●●]し・てあげる



尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○○・○○●]読ん・だげる
[○○・○●●●]読ん・であげる
[○○○・○○●]歩い・たげる
[○○○・○●●●]歩い・てあげる
[○○○○・○○●]もたらし・たげる
[○○○○・○●●●]もたらし・てあげる
上一段活用語 [●・●●●]見・たげる
[●・●●●●]見・てあげる
[○○・○○●]悔い・たげる
[○○・○●●●]悔い・てあげる
[○○○・○○●]用い・たげる
[○○○・○●●●]用い・てあげる
下一段活用語 [●・●●●]出・たげる
[●・●●●●]出・てあげる
[○○・○○●]見え・たげる
[○○・○●●●]見え・てあげる
[○○○・○○●]答え・たげる
[○○○・○●●●]答え・てあげる
カ行変格活用語 [●・●●●]来(き)・たげる
[●・●●●●]来(き)・てあげる
サ行変格活用語 [○○○・○○●]命じ・たげる
[○○○・○●●●]命じ・てあげる



例外:頭高型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・●●●]居(お)っ・たげる
[●●・●●●●]おっ・てあげる



(4)「たれへん」「たげへん」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・●○○○]言う・たれへん
[●●・●○○○]言う・たげへん
[●●●・●○○○]祈っ・たれへん
[●●●・●○○○]祈っ・たげへん
[●●●●・●○○○]輝い・たれへん
[●●●●・●○○○]輝い・たげへん
上一段活用語 [●・●○○○]居(い)・たれへん
[●・●○○○]居(い)・たげへん
[●●・●○○○]出来・たれへん
[●●・●○○○]出来・たげへん
[●●●・●○○○]滅び・たれへん
[●●●・●○○○]滅び・たげへん
下一段活用語 [●・●○○○]得・たれへん
[●・●○○○]得・たげへん
[●●・●○○○]越え・たれへん
[●●・●○○○]越え・たげへん
[●●●・●○○○]与え・たれへん
[●●●・●○○○]与え・たげへん
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●○○○]し・たれへん
[●・●○○○]し・たげへん



尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○○・●○○○]読ん・だれへん
[○○・●○○○]読ん・だげへん
[○○○・●○○○]歩い・たれへん
[○○○・●○○○]歩い・たげへん
[○○○○・●○○○]もたらし・たれへん
[○○○○・●○○○]もたらし・たげへん
上一段活用語 [●・●○○○]見・たれへん
[●・●○○○]見・たげへん
[○○・●○○○]悔い・たれへん
[○○・●○○○]悔い・たげへん
[○○○・●○○○]用い・たれへん
[○○○・●○○○]用い・たげへん
下一段活用語 [●・●○○○]出・たれへん
[●・●○○○]出・たげへん
[○○・●○○○]見え・たれへん
[○○・●○○○]見え・たげへん
[○○○・●○○○]答え・たれへん
[○○○・●○○○]答え・たげへん
カ行変格活用語 [●・●○○○]来(き)・たれへん
[●・●○○○]来(き)・たげへん
サ行変格活用語 [○○○・●○○○]命じ・たれへん
[○○○・●○○○]命じ・たげへん



例外:頭高型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・●○○○]居(お)っ・たれへん
[●●・●○○○]おっ・たげへん