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第3者の動作を表す助動詞(やる、よる、てやる、とおる、やれへん、よれへん、てやれへん、とおれへん)


「やる」「よる」は、第3者の動作を表します。但し、敬語ではないので、目上の人の動作には使えません。
誰かのために、自分が何かをしてやる(したる)という意味ではなく、この言い方は共通語にはありません。
「やる」は普通の言い方。「よる」の方が、やや野卑(もしくは男性的)な言い方です。

「てやる」は、「やる」の動作の継続、完了、習慣等を表します。
「とおる」は、「てよる」の転訛で、「よる」の動作の継続、完了、習慣等を表します。
例えば、
この子、肉は食べやるけど、魚、食べやれへん。
あの人、何してやんねやろ? ご飯食べてやるんとちがう?。
あの人、もう来てやるでぇ。
この子、昨日からご飯食べてやれへんねん。
その人、いつも、どんなもん、食べてやんのん?
あいつ、何しとおんねん。

「やれへん」は、「やる」の否定。「よれへん」は「よる」の否定。

「てやれへん」は、「てやる」の否定。「とおれへん」は「とおる」の否定。

(1)「やる」、「よる」、「てやる」、「とおる」、の活用形

未然
連用
終止
連体
仮定
命令(「へん」に接続)
接続
  やっ・た
やり・ます
やっ・て
やる やる・とき やれ・ば やれ(・へん) 動詞の連用形につく
よら・へん よっ・た
より・ます
よっ・て
よる よる・とき よれ・ば よれ(・へん) 動詞の連用形につく
  てやっ・た
てやり・ます
てやっ・て
てやる てやる・とき てやれ・ば てやれ(・へん) 動詞の連用形につく
とおら・へん とおっ・た
とおり・ます
とおっ・て
とおる とおる・とき とおれ・ば とおれ(・へん) 動詞の連用形につく

「の」「のん」「ねん」「で」などが後につくときには、「やん・ねん」「よん・で」のように、撥音便します。

仮定形にはむしろ、「やったら」「よったら」「てやったら」「とおったら」が使われます。


(2)「やる」「よる」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・○○]言い・やる
[●●・○○]言い・よる
[●●●・○○]祈り・やる
[●●●・○○]祈り・よる
[●●●●・○○]輝き・やる
[●●●●・○○]輝き・よる
上一段活用語 [●・○○]居(い)・やる
[●・○○]居(い)・よる
[●●・○○]出来・やる
[●●・○○]出来・よる
[●●●・○○]滅び・やる
[●●●・○○]滅び・よる
下一段活用語 [●・○○]得・やる
[●・○○]得・よる
[●●・○○]越え・やる
[●●・○○]越え・よる
[●●●・○○]与え・やる
[●●●・○○]与え・よる
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・○○]し・やる
[●・○○]し・よる



尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○●・○○]読み・やる
[○●・○○]読み・よる
[○○●・○○]歩き・やる
[○○●・○○]歩き・よる
[○○○●・○○]もたらし・やる
[○○○●・○○]もたらし・よる
上一段活用語 [●・○○]見・やる
[●・○○]見・よる
[○●・○○]悔い・やる
[○●・○○]悔い・よる
[○○●・○○]用い・やる
[○○●・○○]用い・よる
下一段活用語 [●・○○]出・やる
[●・○○]出・よる
[○●・○○]見え・やる
[○●・○○]見え・よる
[○○●・○○]答え・やる
[○○●・○○]答え・よる
カ行変格活用語 [●・○○]来(き)・やる
[●・○○]来(き)・よる
サ行変格活用語 [○○●・○○]命じ・やる
[○○●・○○]命じ・よる



例外:頭高型アクセントの動詞

普通は、「居りやる」ではなく「いてやる」、「居りよる」ではなく「いとおる」を使います。

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・○○]居(お)り・やる
[●●・○○]おり・よる



(3)「てやる」「とおる」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・●○○]言う・てやる
[●●・●○○]言う・とおる
[●●●・●○○]祈っ・てやる
[●●●・●○○]祈っ・とおる
[●●●●・●○○]輝い・てやる
[●●●●・●○○]輝い・とおる
上一段活用語 [●・●○○]居(い)・てやる
[●・●○○]居(い)・とおる
[●●・●○○]出来・てやる
[●●・●○○]出来・とおる
[●●●・●○○]滅び・てやる
[●●●・●○○]滅び・とおる
下一段活用語 [●・●○○]得・てやる
[●・●○○]得・とおる
[●●・●○○]越え・てやる
[●●・●○○]越え・とおる
[●●●・●○○]与え・てやる
[●●●・●○○]与え・とおる
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●○○]し・てやる
[●・●○○]し・とおる



尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○○・●○○]読ん・でやる
[○○・●○○]読ん・どおる
[○○○・●○○]歩い・てやる
[○○○・●○○]歩い・とおる
[○○○○・●○○]もたらし・てやる
[○○○○・●○○]もたらし・とおる
上一段活用語 [●・●○○]見・てやる
[●・●○○]見・とおる
[○○・●○○]悔い・てやる
[○○・●○○]悔い・とおる
[○○○・●○○]用い・てやる
[○○○・●○○]用い・とおる
下一段活用語 [●・●○○]出・てやる
[●・●○○]出・とおる
[○○・●○○]見え・てやる
[○○・●○○]見え・とおる
[○○○・●○○]答え・てやる
[○○○・●○○]答え・とおる
カ行変格活用語 [●・●○○]来(き)・てやる
[●・●○○]来(き)・とおる
サ行変格活用語 [○○○・●○○]命じ・てやる
[○○○・●○○]命じ・とおる



例外:頭高型アクセントの動詞

「おる」に「てやる」「とおる」はつきません。

活用形
2音節
[●○]
 
五段活用語 [●●・●○○]居(お)っ・てやる
[●●・●○○]おっ・とおる
・・というような言い方はない!



(4)「やれへん」「よれへん」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・○○○○]言い・やれへん
[●●・○○○○]言い・よれへん
[●●●・○○○○]祈り・やれへん
[●●●・○○○○]祈り・よれへん
[●●●●・○○○○]輝き・やれへん
[●●●●・○○○○]輝き・よれへん
上一段活用語 [●・○○○○]居(い)・やれへん
[●・○○○○]居(い)・よれへん
[●●・○○○○]出来・やれへん
[●●・○○○○]出来・よれへん
[●●●・○○○○]滅び・やれへん
[●●●・○○○○]滅び・よれへん
下一段活用語 [●・○○○○]得・やれへん
[●・○○○○]得・よれへん
[●●・○○○○]越え・やれへん
[●●・○○○○]越え・よれへん
[●●●・○○○○]与え・やれへん
[●●●・○○○○]与え・よれへん
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・○○○○]し・やれへん
[●・○○○○]し・よれへん



尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○●・○○○○]読み・やれへん
[○●・○○○○]読み・よれへん
[○○●・○○○○]歩き・やれへん
[○○●・○○○○]歩き・よれへん
[○○○●・○○○○]もたらし・やれへん
[○○○●・○○○○]もたらし・よれへん
上一段活用語 [●・○○○○]見・やれへん
[●・○○○○]見・よれへん
[○●・○○○○]悔い・やれへん
[○●・○○○○]悔い・よれへん
[○○●・○○○○]用い・やれへん
[○○●・○○○○]用い・とれへん
下一段活用語 [●・○○○○]出・やれへん
[●・○○○○]出・よれへん
[○●・○○○○]見え・やれへん
[○●・○○○○]見え・よれへん
[○○●・○○○○]答え・やれへん
[○○●・○○○○]答え・よれへん
カ行変格活用語 [●・○○○○]来(き)・やれへん
[●・○○○○]来(き)・よれへん
サ行変格活用語 [○○●・○○○○]命じ・やれへん
[○○●・○○○○]命じ・よれへん



例外:頭高型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・○○○○]居(お)り・やれへん
[●●・○○○○]おり・よれへん



(3)「てやれへん」「とおれへん」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・●○○○○]言う・てやれへん
[●●・●○○○○]言う・とおれへん
[●●●・●○○○○]祈っ・てやれへん
[●●●・●○○○○]祈っ・とおれへん
[●●●●・●○○○○]輝い・てやれへん
[●●●●・●○○○○]輝い・とおれへん
上一段活用語 [●・●○○○○]居(い)・てやれへん
[●・●○○○○]居(い)・とおれへん
[●●・●○○○○]出来・てやれへん
[●●・●○○○○]出来・とおれへん
[●●●・●○○○○]滅び・てやれへん
[●●●・●○○○○]滅び・とおれへん
下一段活用語 [●・●○○○○]得・てやれへん
[●・●○○○○]得・とおれへん
[●●・●○○○○]越え・てやれへん
[●●・●○○○○]越え・とおれへん
[●●●・●○○○○]与え・てやれへん
[●●●・●○○○○]与え・とおれへん
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●○○○○]し・てやれへん
[●・●○○○○]し・とおれへん



尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○○・●○○○○]読ん・でやれへん
[○○・●○○○○]読ん・どおれへん
[○○○・●○○○○]歩い・てやれへん
[○○○・●○○○○]歩い・とおれへん
[○○○○・●○○○○]もたらし・てやれへん
[○○○○・●○○○○]もたらし・とおれへん
上一段活用語 [●・●○○○○]見・てやれへん
[●・●○○○○]見・とおれへん
[○○・●○○○○]悔い・てやれへん
[○○・●○○○○]悔い・とおれへん
[○○○・●○○○○]用い・てやれへん
[○○○・●○○○○]用い・とおれへん
下一段活用語 [●・●○○○○]出・てやれへん
[●・●○○○○]出・とおれへん
[○○・●○○○○]見え・てやれへん
[○○・●○○○○]見え・とおれへん
[○○○・●○○○○]答え・てやれへん
[○○○・●○○○○]答え・とおれへん
カ行変格活用語 [●・●○○○○]来(き)・てやれへん
[●・●○○○○]来(き)・とおれへん
サ行変格活用語 [○○○・●○○○○]命じ・てやれへん
[○○○・●○○○○]命じ・とおれへん



例外:頭高型アクセントの動詞

「おる」に「てやれへん」「とおれへん」はつきません。

活用形
2音節
[●○]
 
五段活用語 [●●・●○○○○]居(お)っ・てやれへん
[●●・●○○○○]おっ・とおれへん
・・というような言い方はない!