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意志、推量の助動詞((う)、よ(う)、やろ(う)、んとこ(う)、んやろ(う))


意志、推量を表すには、共通語と同じ「〜う、〜よう」を使います。

形容詞、形容動詞につく場合には、「良かろ・う」、「きれいやろ・う」のように、推量の意味で使われます。
しかし、形容詞の場合には、助動詞「や」を伴って、「ええ・やろ・う」のように表現するのが普通です。

動詞につく場合には、「食べ・よう」のように、意志の意味で使われます。推量の意味で使われることは少ないと言えるでしょう。
動詞について、推量の意味を表すためには、助動詞「や」を伴って、「食べる・やろ・う」のように表現します。

「う」「よう」につくのは未然形ですが、大阪弁では「う」が省略されてしまい、裸の未然形または「よ」が使われます。

動詞で否定の意志を表現する言い方は、「ん・とこ・(う)」となります。「〜ないでおく」の意味です。
また、否定の推量を表現する言い方は、「ん・やろ・(う)」「へん・やろ・(う)」となります。

(1)「う」、「よう」の活用形

未然
連用
終止
連体
仮定
命令
接続
    (う・とき)     5段活用の動詞、形容詞、形容動詞、助動詞などにつく
    よう (よう・とき)     上下一段、カ変、サ変の動詞につく




(2)「う」が形容詞につく場合のアクセント

    終止形 「う」 「やろ・う」 「やろ」
(1)一般型 3音節ク活用語 高い[●○○] 高かろ・う
[○●○●・○]
[○○○●・○]
高い・やろ・う
[●○○・○○○]
高い・やろ
[●○○・○○]
速い[●○○] 速かろ・う
[○●○●・○]
[○○○●・○]
速い・やろう
[●○○・○○○]
速い・やろ
[●○○・○○]
4音節ク活用語 重たい[●●○○] 重たかろ・う
[●●●○●・○]
[○○○○●・○]
重たい・やろう
[●●○○・○○○
重たい・やろ
[●●○○・○○]
多音節ク活用語 気色悪い
[●●●●○○]
気色悪かろ・う
[●●●●●●●・○]
[●●●○○○●・○]
気色悪い・やろう
[●●●●○○・○○○]
気色悪い・やろ
[●●●●○○・○○]
3音節シク活用語 欲しい[●○○] 欲しかろ・う
[●●○●・○]
[○○○●・○]
欲しい・やろう
[●○○・○○○]
欲しい・やろ
[●○○・○○]
4音節シク活用語 楽しい[●●○○] 楽しか・ろう
[●●●○●・○]
[○○○○●・○]
楽しい・やろう
[●●○○・○○○]
楽しい・やろ
[●●○○・○○]
(2)2音節頭高アクセント 濃い[●○] 濃かろ・う
[●○●・○]
濃い・やろう
[●○・○○○]
濃い・やろ
[●○・○○]
(3)2音節尻上がりアクセント 良い[○●] よかろ・う
[●●●・○]
ええ・やろう
[○●・○○○]
ええ・やろ
[○●・○○]
(4)特殊型アクセント おいしい[○○●○] おいしかろ・う
[○○●○●・○]
[○○○○●・○]
おいしい・やろう
[○○●○・○○○]
おいしい・やろ
[○○●○・○○]
おおきい[●○○○] おおきかろ・う
[●●●●●・○]
おおきい・やろう
[●○○○・○○○]
おおきい・やろ
[●○○○・○○]




(3)「う」「よう」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

最後の「う」だけが低くなります。
「う」が省略される場合には、平板となります。

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・○]言お・う
[●●]言お
[●●●・○]祈ろ・う
[●●●]祈ろ
[●●●●・○]輝こ・う
[●●●●]輝こ
上一段活用語 [●・●○]居(い)・よう
[●・●]居(い)・よ
[●●・●○]出来・よう
[●●・●]出来・よ
[●●●・●○]滅び・よう
[●●●・●]滅び・よ
下一段活用語 [●・●○]得・よう
[●・●]得・よ
[●●・●○]越え・よう
[●●・●]越え・よ
[●●●・●○]与え・よう
[●●●・●]与え・よ
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●○]し・よう
[●・●]し・よ



尻上がり型アクセントの動詞

「う」がつく場合、動詞部分が尻上がりとなり、「う」は低くなります。
「よう」がつく場合、動詞部分はアクセントの待機が生じ、「よ」が高く、「う」が低くなります。

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○●・○]会(あ)お・う
[○●]会(あ)お
[○○●・○]歩こ・う
[○○●]歩こ
[○○○●・○]もたらそ・う
[○○○●]もたらそ
上一段活用語 [○・●○]見・よう
[○・●]見・よ
[○○・●○]悔い・よう
[○○・●]悔い・よ
[○○○・●○]用い・よう
[○○○・●]用い・よ
下一段活用語 [○・●○]出・よう
[○・●]出・よ
[○○・●○]見え・よう
[○○・●]見え・よ
[○○○・●○]答え・よう
[○○○・●]答え・よ
カ行変格活用語 [○・●○]来(こ)・よう
[○・●]来(こ)・よ
サ行変格活用語 [○○○・●○]命じ・よう
[○○○・●]命じ・よ



例外:頭高型アクセントの動詞

平板と同様です。

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・○]居(お)ろ・う
[●●]おろ





(4)「やろ(う)」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞・・・「やろ(う)」は低くなります。

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・○○(○)]言う・やろ(う) [●●●・○○(○)]思う・やろ(う) [●●●●・○○(○)]行う・やろ(う)
上一段活用語 [●●・○○(○)]居(い)る・やろ(う) [●●●・○○(○)]出来る・やろ(う) [●●●●・○○(○)]滅びる・やろ(う)
下一段活用語 [●●・○○(○)]得る・やろ(う) [●●●・○○(○)]越える・やろ(う) [●●●●・○○(○)]与える・やろ(う)
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●●・○○(○)]する・やろ(う)



尻上がり型アクセントの動詞・・・「やろ(う)」は低くなります。

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○●・○○(○)]会う・やろ(う) [○○●・○○(○)]歩く・やろ(う) [○○○●・○○(○)]もたらす・やろ(う)
上一段活用語 [○●・○○(○)]見る・やろ(う) [○○●・○○(○)]悔いる・やろ(う) [○○○●・○○(○)]用いる・やろ(う)
下一段活用語 [○●・○○(○)]出る・やろ(う) [○○●・○○(○)]見える・やろ(う) [○○○●・○○(○)]答える・やろ(う)
カ行変格活用語 [○●・○○(○)]来(く)る・やろ(う)
サ行変格活用語 [○○○●・○○(○)]命じる・やろ(う)



例外:頭高型アクセントの動詞・・・「やろ(う)」は低くなります。

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●○・○○(○)]居(お)る・やろ(う)




(5)「んとこ(う)」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞

最後の「う」だけが低くなります。

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・●●●(○)]言わ・んとこ(う) [●●●・●●●(○)]祈ら・んとこ(う) [●●●●・●●●(○)]輝か・んとこ(う)
上一段活用語 [●・●●●(○)]居(い)・んとこ(う) [●●・●●●(○)]出来・んとこ(う) [●●●・●●●(○)]滅び・んとこ(う)
下一段活用語 [●・●●●(○)]得・んとこ(う) [●●・●●●(○)]越え・んとこ(う) [●●●・●●●(○)]与え・んとこ(う)
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●●●(○)]せ・んとこ(う)



尻上がり型アクセントの動詞

「こ」が高くなり、「う」が低くなります。

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○○・○○●(○)]会(あ)わ・んとこ(う) [○○○・○○●(○)]歩か・んとこ(う) [○○○○・○○●(○)]もたらさ・んとこ(う)
上一段活用語 [○・○○●(○)]見・んとこ(う) [○○・○○●(○)]悔い・んとこ(う) [○○○・○○●(○)]用い・んとこ(う)
下一段活用語 [○・○○●(○)]出・んとこ(う) [○○・○○●(○)]見え・んとこ(う) [○○○・○○●(○)]答え・んとこ(う)
カ行変格活用語 [○・○○●(○)]来(こ)・んとこ(う)
サ行変格活用語 [○○○・○○●(○)]命じ・んとこ(う)



例外:頭高型アクセントの動詞

平板と同様です。

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・●●●(○)]居(お)ら・んとこ(う)





(6)「んやろう」が動詞につく場合のアクセント

平板型アクセントの動詞・・・「ん」は高く、「やろう」は低くなります。

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●●・●○○(○)]言わ・んやろ(う) [●●●・●○○○]思わ・んやろ(う) [●●●●・●○○(○)]行わ・んやろ(う)
上一段活用語 [●・●○○(○)]居(い)・んやろ(う) [●●・●○○(○)]出来・んやろ(う) [●●●・●○○(○)]滅び・んやろ(う)
下一段活用語 [●・●○○(○)]得・んやろ(う) [●●・●○○(○)]越え・んやろ(う) [●●●・●○○(○)]与え・んやろ(う)
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●・●○○(○)]せ・んやろ(う)



尻上がり型アクセントの動詞・・・「ん」は高く、「やろう」は低くなります。

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○○・●○○(○)]会わ・んやろ(う) [○○○・●○○(○)]歩か・んやろ(う) [○○○○・●○○(○)]もたらさ・んやろ(う)
上一段活用語 [○・●○○(○)]見・んやろ(う) [○○・●○○(○)]悔い・んやろ(う) [○○○・●○○(○)]用い・んやろ(う)
下一段活用語 [○・●○○(○)]出・んやろ(う) [○○・●○○(○)]見え・んやろ(う) [○○○・●○○(○)]答え・んやろ(う)
カ行変格活用語 [○・●○○(○)]来(こ)・んやろ(う)
サ行変格活用語 [○○○・●○○(○)]命じ・んやろ(う)



例外:頭高型アクセントの動詞・・・平板と同様です。

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●●・●○○(○)]居(お)ら・んやろ(う)




(7)「へんやろ(う)」が動詞につく場合のアクセント

動詞部は「へん」がつく時と同じアクセント。「へんやろ(う)」は、[○●○○(○)]。

なお、「へん」がついた動詞の京都式活用については、「へん」のページを参照。

平板型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●●]
3音節
[●●●]
4音節以上
[●●●●]
五段活用語 [●○・○●○○(○)]言え・へんやろ(う) [●●○・○●○○○]思え・へんやろ(う) [●●●○・○●○○(○)]行え・へんやろ(う)
上一段活用語 [●○・○●○○(○)]居(い)や・へんやろ(う) [●○・○●○○(○)]出来(け)・へんやろ(う) [●●○・○●○○(○)]滅び・へんやろ(う)
下一段活用語 [●○・○●○○(○)]得え・へんやろ(う) [●○・○●○○(○)]越え・へんやろ(う) [●●○・○●○○(○)]与え・へんやろ(う)
カ行変格活用語
サ行変格活用語 [●○・○●○○(○)]せえ・へんやろ(う)



尻上がり型アクセントの動詞

活用形
2音節
[○●]
3音節
[○○●]
4音節以上
[○○○●]
五段活用語 [○●・○●○○(○)]会え・へんやろ(う) [○●○・○●○○(○)]歩け・へんやろ(う) [○○●○・○●○○(○)]もたらせ・へんやろ(う)
上一段活用語 [●○・○●○○(○)]見(め)え・へんやろ(う) [○●・○●○○(○)]悔い・へんやろ(う) [○●○・○●○○(○)]用い・へんやろ(う)
下一段活用語 [●○・○●○○(○)]出え・へんやろ(う) [○●・○●○○(○)]見え・へんやろ(う) [○●○・○●○○(○)]答え・へんやろ(う)
カ行変格活用語 [●○・○●○○(○)]来(け)え・へんやろ(う)
サ行変格活用語 [○●○・○●○○(○)]命じ・へんやろ(う)



例外:頭高型アクセントの動詞

活用形
2音節
[●○]
五段活用語 [●○・○●○○(○)]居(お)れ・へんやろ(う)